沖縄世界自然遺産登録の再検証
2021年に「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産に登録された。このために行われた活動を社会学的および生物学的に再検証する。
ここでは、本文の中で引用・参照している論文のうち、英語で公開されている論文を日本語に翻訳した論文を公開している。
目次
- 目次
- 概要 (Abstract)
- 背景 (Background)
- ネコ駆除派学者の論文 (self-serving-academic)
- ネコ駆除派学者の文献 (self-serving-books)
- ネコ駆除派学者のプロパガンダ (self-serving-propaganda)
- 家畜化と再野生化 (feralization)
- 侵入生態学と侵入生物学 (invasion biology)
- 日本政府による世界遺産登録 (ja-government)
- 自民党の利権構造 (ldp-concession)
- 結論 (conclusion)
- 参考文献 (references)
駆除派学者の主張
- ノネコとは再野生化したイエネコ
- ノネコが固有種を絶滅するリスクが高い
- NTR ではネコの個体数を減少させることはできない
- 予防的アプローチでノネコは駆除すべき
- 外来生物は固有生物を絶滅させる (外来生物悪玉論)
- 動物愛護の英訳は存在せず、日本の動物愛は世界でも独自で、このプロジェクトは世界的な存在意義がある
本論文で主張
- ノネコとはイエネコのその時点の状態であって、恒久的な分類ではない
- 家畜化されたイエネコが再野生化したノネコは、暫定的な集団であり、繁殖する集団ではない
- 外来生物悪玉論は科学的に誤りである (文献3冊)
- 短期での大々的な TNR でネコの個体数を管理できる
- ノネコの駆除は生態系保護の解決策にならない
- 駆除派の主張するノネコは、ノラネコのことであり、これを殺処分することは動物愛護法違反である
- 動物愛護法違反を回避するために、適正飼養条例 (餌やり禁止) を策定させた
- 鳥獣保護法による殺処分につなげようとしたが、鳥獣保護法でも殺処分は法律違反である
- ネコ駆除派は、沖縄世界自然遺産によるインバウンド観光推進を企図する地元企業や地方自治体、環境省のために論文作成などの活動を行った
- 世界自然遺産は人間による自然破壊からの生態系保護を行うものだが、これに反し、自然破壊の開発と観光客誘致を優先するために、ノネコ問題をスケープゴートにした
- 沖縄自然遺産の固有種が絶滅の危機にあるのは、生息地の自然破壊や交通事故死が原因であって、ノネコの捕食による影響は小さい
- 自然遺産登録するよりも、生息地の生態系を保護することが固有種の保護に繋がるが、自分たちの利権のために自然保護を犠牲にしている
- ネコ駆除派学者の主張とは逆に、日本の動物愛護およびアニマルウェルフェアは世界でも遅れている
- 日本の動物愛護、アニマルウェルフェアの遅れは、業界団体と日本政府、官僚が癒着して利権構造ができあがっているからである
本論文では、参照された論文、書籍、Web 記事など、参考文献の一覧を記載する。